絶滅危惧食~Red Data List~
蒐記 <終章> ~死の美学~
人は罪を犯す。
自分の欲望を満たすために。
人は罪を犯す。
自分のあずかり知らぬところで。
人は人を殺す。
自分の欲望を満たすために。
人は人を殺す。
自分の意志に反して。
人は人を殺す。
悪を倒すという名目で。
温くなったコーヒーを口に含み、ゆっくりと飲み込む。
「最後のがいつも気に食わねぇんだよなぁ」
ソファーに深く腰を下ろし、そのまま仰け反り天井を見上げる。
「言っている意味は理解できる。それによって被害が最小になるかもしれない。でも結局やってることは悪人と変わらねぇじゃねぇか・・・」
尋は虚空に向かって腕を伸す。
「甘っちょろい?所詮綺麗事?いんや、立場によっては正義が悪に、悪が正義にもなり得る。要はどっち側でモノを見るかだけの問題でしかねぇ。また確信犯だった場合、尚更、手に負えねぇぜ・・・」
機無 尋(きなし じん) 32歳。
明日に備えて目を瞑る。
~Fin~