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蒐記 <第三話> ~獄中生戯~

※この物語はフィクションですのであしからず。現実と虚構の区別がつかない方は読むのをご遠慮下さい。


2005年殺人の容疑で医師である一人の男が逮捕された。

同僚医師が原井戸 船生(はらいど ふなお)の担当患者の死亡率が際だって高いことに疑いを抱き、検死官に相談。捜査の結果、患者を殺害していた疑いが強まり、2005年9月7日に逮捕された。
その後の調査で、患者数3500人の病院で容疑者が診察した患者の内41人がその日の内に死亡していたことが分かった。2007年7月19日に政府は被害者が最低でも182人と発表し、容疑者が殺害したとされる443人の内、自然死は210人で38人は判定不能で195人の内男性が44人で女性が151人だった。被害者の年齢は47歳~93歳。



「尋さん、コイツは相当にヤバいですよ」
「あぁ・・・そうだな・・・」
「お気をつけて」


 コンコン。がちゃ。
「よぉ殺人鬼さん、ちょいと失礼するぜ」
 そう言いながらいつもの椅子に腰をかける。
「殺人鬼とは人聞きが悪いですね。私は全うに医療行為に従事していただけですが?」
「ほう、よく言うぜ。SDSにでも載せる気か?薬物投与における致死量の調査と称して。宣ってんじゃねぇ」
「あなた初対面の人に対して態度が悪すぎではありませんかね?野蛮で知性の欠片もない。育ちの悪さが伺えます」
「あぁ。アンタと一緒で『育ち』が悪いものでね」
「一緒にしないで頂けませんか?」
「おぅ、そうかいそうかい」
 やれやれだぜ、と言った風に手を動かす。
「ところで1つ聞きたいんだが、人を殺す気分ってのはどうだい?」
「私は人を殺めたと自覚したことは一度もないですが」
「正直なところ、アンタの動機が全くわからんのよねぇ。通常であれば憎悪やら衝動的、快楽などの理由があるがアンタのそれにはまるでその兆候が見られない。異常の中の異常。まさに尋常じゃないってな。だからここだけの話、俺だけに教えてくんねぇかな」
「あなたは人の話を聞かない方のようで。時々患者さんの中にもそのような方がいて困ってしまいます。私は人を殺めてなどい」
「それじゃ『裁いた』だと?」
 話を遮りながら足を組み、顎に手をかけながら問う。
「何様のつもりだい、お前さん」
「はい?何のお話ですか?まぁ言うならばお医者様って感じですかね」
「どうやら自分の立場はちゃんと理解しているようだな。安心した」
「よくわからない人ですね」
「アンタにゃ言われとうないわ。んで本題なんだが、なぜ重犯罪者だけでなく軽犯罪者まで殺したかだ。ガン患者でステージⅣまでいっているならまだ医師としてわからなくもないが。ステージⅡ程度の患者も殺していたって調査結果に書いてあったぜ?わざわざカルテを改竄してまで。どうしてだい?」
「くくく。どうせ私は死刑確定なんでしょう?でしたら教えてさしあげましょう。冥土に持ち込んだところでどうせ誰も追ってきては頂けないでしょうから、地獄までは。理由はたった一つ。『罪なき人』は殺せないでしょう?」
「・・・。はぁ?」
「恥ずかしながらこれは私の持論なのですが、刑務所と病院はお互いに手を取り合っていく方が良いと思うのです。いや、そうすべき!そうしなければいけない!!例えば、私は専門外なのですが、実習の一環として囚人の腕をわざと切断してその腕を縫合する手術を行う。目を潰し失明させた状態から見える状態にする手術。感染症名などで一度症状を発生させそれに対する処置を行う。こうした現場の『経験』を事前に積むことで実習生は自信を持つことができ、また、新たな医療の確立をすることができる可能性が生まれるのです。もちろん、この実習の被験者である囚人にも大きなメリットがあり、身体を提供することでその手術の危険レベルに応じて『刑期』を減らすことができるのです。もし、死刑確定となってしまっても一発逆転でまだこの世に生き延びられるチャンスを得るのです。どうせ死ぬのであれば一か八か賭けてみるべきですよね♪まぁ後遺症などのリスクはありますが。当然のことながら囚人に苦痛を与えることが目的ではないため痛みなどに関しては最大限の配慮は怠ってはなりません。これこそ医療の品質が飛躍的に向上するシステム。また、このシステムを強制にすれば副産物的に犯罪も減ることでしょう。なぜならば、誰しも自分の身体を弄られるのは嫌でしょう。故に犯罪が減り、さらに刑期が減る事によって囚人に対する経費も減り、それに付く刑務官の人数も減り、警察官の人数も減り結果的に税金を大きくコストダウンすることが可能であると考えております」
「医者の身分で政治のお話かい?出過ぎた真似を。第一なんなんだこの壮大な『囚人モルモット計画』は。アンタには医者としての倫理観っつ~ものがないのか?」
「ではなぜ人は医療行為の基礎研究の際、モルモットなどの実験動物を使用するのですか?それは倫理的におかしくはないのですか?」
「人間と動物の命の重さが違うからじゃねぇのか?知らんけど」
 バンッ!!原井戸が両腕を机に叩きつける。
「あなた達のそういう考え方に吐き気を催す。命とは人・他の生物に対して平等に尊いもので大切なものではないのですか?でも現実的にはそうではなく、そういうことを大きい声で言っている方ほど、虫などの生物を平気で殺す。そこにある尊い命を無視して」
「今上手いこと言ったつもりかい?」
「茶化さないでください。本来、命の尊さに序列なんて存在しません。序列が存在するならば自分たちが生物の頂点だと勝手に思い込み他の生物を見下し虐げ支配しようとする醜い人間の心がある場合なのです」
「そこまで命の尊さをわかっていながらなぜ人を殺めたんだ?」
「理解できたからと言ってそれを必ずしも是とする必要はあるのですか?この世の中は理不尽に溢れすぎています。でも理不尽を是とするならばそれはすでに理に尽きてしまうのです」
「するってーとアンタは殺人を是としたわけか」
「医療の発展のために」
「確信犯か。大義名分だな」
「そもそも論として。私がこう言ってしまうのもアレな話なんですが、この世に本来不要でなければいけない職業が3つあり、警察・弁護士・医者が挙げられる。なぜか?」
「人の不幸を礎にして成り立っている職業だからか?」
「ご名答。治安が良ければ警察は不要、争わなければ弁護士も不要、そして長寿を願わなければ医者も不要。すべては理不尽が存在する世の中から産まれた歪みなんです」
「そんな理不尽の中で藻掻き苦しみながら生きていくのが人生の醍醐味なんじゃねぇかばーか」
 ちらっと時計を見やる。
「そろそろ時間だ。俺はおいとまさせてもらう。そうそう。アンタの被害者は全員痛み無く亡くなったそうだが、アンタは覚悟しておけよ。生命軽視のその痛みを。んじゃさようなら。アンタの理想郷が現実となるならまた会おう」


「ちっ」
 浮かない顔をしている男が一人、廊下に立っていた。
「ずいぶん堕神様に気に入られてたじゃねぇか・・・」
 遠くから一人の男が近寄ってくる。
「尋さんお疲れ様です!!今日はどこにします?」
「今日は祝鵬(しゅくほう)で天津丼だな。それから今日は俺が奢ってやる」
「おぉ、ついにその気になって戴けたんですね♪あっでも珍しいことだからこれから天気が悪くなるかも」
「今台風2号が近づいているって話だぜ?」
「やっぱりって痛い!殴らないでくださいよ」
「ちっ」


to be continued→


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<後記>
入院中漠然と考えたことをネタにしてみました。もしも、お医者様が殺人鬼だったら。人間不信の極みですね。まぁ嘘だけど。ジョジョで例えるならばチョコラータ的な感じに。こいつはもっぱら快楽殺人ですけど(苦笑)。今にして思えば、バラバラになった肢体の傷口にカビで止血しているのはわかりますが、それで各手足が動く道理がわからないです(汗)。


元ネタについての自分なりの考察と致しましては「最愛の母親が死ぬ瞬間を、繰り返し再現したくて殺害した」、「最愛の母親と一緒にいるような気持ちになったから、モルヒネを大量に投与した」という心理学者の説だと思っています。「彼が何のためらいもなく、次々と殺人を行ったのは、自分は特別である、人間の生死を支配できる神のような存在だと思っていたからではないか」と言う説が有力らしいですけど、薬物中毒になった時期によるのかなぁと。まぁ本人自殺してしまっているので真相は闇の中。


~再調査結果より~

【囚人再利用計画】
ランク(減刑年数)・・・施術内容

SS(即釈放)・・・頭部切開手術、心臓移植手術、ガン(ステージⅣ)、過酷環境暴露試験、薬物投与(SDS用)、奇病解析
S(十数年)・・・四肢切断および縫合手術、失明復帰手術、聴力復帰手術、性転換手術、毒味
A(半年)・・・治験、外科的手術(複雑骨折など)、感染症治療(インフルエンザなど)
B(1ヶ月)・・・中度外傷(骨折など)の治療
C(3日間)・・・軽度外傷(打撲・捻挫など)の治療

「だってよ。お前がもし囚人ならやるか?」
「いやいや、嫌ですって。というか飯時に止めてくださいって」
「俺はそのときの年齢および病気次第でやるかもな」
「えっ本気ですか尋さん?」
「嘘に決まってんだろば~か。ってかこれ強制じゃなかったっけか?」
「あぁそういえば」


都市伝説で、
「あの刑務所から出てくると、なんか小さくなってるんだけど?」
な~んて。


最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。


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