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蒐記 <第五話> ~愛耐罰死~

※この物語はフィクションですのであしからず。現実と虚構の区別がつかない方は読むのをご遠慮下さい。



ハンドボール部の主将を務めていた2年生の男子生徒が、12月24日に首吊り自殺した。この生徒は自殺の前日まで、顧問の男性教諭から暴力的な体罰を執拗に受けていたことが判明。男性教諭は懲戒免職処分となり、2010年3月24日にO府警察本部から書類送検され、地方検察庁は傷害罪と暴行罪で在宅起訴する方針を固めた。



 「だ~か~らッ!体罰なんかじゃねぇ!!『愛のムチ』だっつってんだろうがよ」
静寂だった廊下に怒号の波が押し寄せる。その波が足下まで辿り着くと男は大きなため息をこぼす。と、同時に扉が開かれ中から一人の男が現れる。
 「あっ、尋さん。早くしてくださいよ~。俺ああいうタイプ苦手っす。んじゃお願いします!!」
尋はそんな情けない後輩とすれ違って中へと入っていく。
 「どうしたい?どうやら穏やかじゃないねぇ~」
 「どうしたも何も、なんで俺がこんなところに拘束されなきゃなんねぇんだ。生徒達が俺を待ってんだ。責任者はお前か?早く帰らせろ」
 「誰もお前なんか必要となんかしちゃいないさ。お前に恐怖で洗脳されていたヤツら以外はな」
 「んだとこの野郎!!」
 「スポ根溢れる昔ながらの熱血漢だこと。いまどきいねぇよそんなヤツ」
 「ッてめぇ。もういっぺん言ってみやがれ」
殴りかかろうとした勢いで椅子が背後に倒れ、机越しに尋の胸ぐらを掴んでガンを飛ばす。
 「嫌だなぁ~せ・ん・せ・い♪このぐらいの戯言程度で激昂してぇ~すぐに手をだそうとするぅ~。確か先生の学校では『暴力はどんな理由があっても厳禁、即退学』なんじゃなかったでしたっけ?先生は『例外』なんですかぁ?そ・れ・と♪場所を弁えろ」
 「いてぇッ」
気付いたときにはすでに尋の手が男の腕を掴んで捻り上げていた。
 「この野郎、国家権力が暴力振るっていいんか!?」
手で顔を覆いながら大袈裟なため息をつく。
 「俺のは自己防衛、お前のはただ『試合に勝利する』という大義名分を振りかざした暴力だっつーんだよ。これだから脳筋わ・・・」
 「うるさい、試合に勝つためには体罰は必要なんだ!肉体的にも精神的にも。弱いヤツは負ける、それはスポーツだけの話じゃない。この世の真理なんだ」
 『あれ?先生一番最初に体罰じゃなく愛のムチって言ってなかった?『せんせいの無知』あるいは『無know(むのう)』っつってね。大概教師ってもんは一般社会に出たことがないからな。それで世に出るための教育をするとか笑わせてくれる」
またしても血が突沸したが如くキレる男が尋に立ち向かっていく。すると1秒後には世界が反転し理解もしないうちに衝撃が体内を駆け巡る。
 「ごほわぁ」
 「冗談も大概にせえよ?これ以上暴れるようならこの神様・仏様と崇め奉られている尋ちゃんが鬼へと豹変するぜ?」
分厚い壁の向こう側から『それはない』という否定の声が一斉に聞こえた気がするが放っておこう。
 「ほら、いいから席に着け」
床に倒れ伏した男を引き起こし席に座らせる。
 「ところでお前さん、子供はいるかい?」
 「息子と娘が1人ずついるが」
 「ちょいと息子さんを俺に預けさせてくんねぇかな」
 「ん?なんでだよ」
 「さっきの『弱いヤツは負ける~』っつうヤツに共感したんだ。だからお前の子供を俺が教育する。自分の子供だと甘えが出るかもしれないからな。万が一、行き過ぎた指導で教育中に死んだとしても俺の責任ではないからそこんとこよろしく♪」
 「てめぇ、頭がイカれてんのか?人様の子を殺しても責任がないだと!?ぶっ殺すぞこの野郎!!」
満面の笑みを浮かべながら足を組み、顎に手をかけながら問う。
 「ねぇねぇ、今の気持ち、過去に一瞬でも考えたことあるぅ~?」
男は一瞬ハッとした表情をしうなだれた。
 「被害者の男子生徒は一体どんな思いだったんだろうな。毎日理不尽に罵倒され、暴力を振るわれて。辛かったろう、苦しかったろう。それでも大好きだったハンドボールを一生懸命上手くなろうと、試合に勝てるようにと頑張って。でもそんな努力や夢さえたった一人の大人に殺されて」
尋は男の方を見つめながら続ける。
 「確かに勝負の世界にいる以上、厳しくするのはしょうがないと思うが、恐怖だけで指導するなんてド三流がやるこったぜ?本当に良い指導者ってもんはもっと生徒一人一人の善し悪しを理解したうえで良いところをより伸し、悪いところを少しでも改善していくもんだぜ。当たり前のことだがこれがなかなかできるもんじゃねぇ。お前さんの過去は知らないが、きっと良い指導者に出会わなかったんだろうな」
尋は立ち上がり廊下の方へと歩き始める。そして振り返り、
 「良い指導者よりもまずは良い人間になりな」
一言言い放つとそのまま静寂な廊下へと消えていった。



 「ったくよ~」
尋はあきれたように目の前から走ってくる後輩を見つめる。
 「お疲れ様です、尋さん!!」
 「お疲れじゃねぇ!なんだあの様は」
 「だって~・・・ねぇ?」
 「ねぇ?じゃねぇ!!あんぐらいのことで逃げやがって。情けねぇったらもう」
 「次回は気を付けます!!」
 「ったく。んじゃ次回は勝てるように一かつでチーズ入りヒレカツ定食でも食うか。勿論お前の奢りで」
 「その支払いも逃げていいっすか?」
 「い・い・や・だ・め・だ・ね♪」
突如走り出す男が一人。
 「あっこら逃げんな。っつーか廊下は走るなぁッ!!」


to be continued→



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<後記>
一時期問題視されていた『体罰』問題について。だいぶ風化してしまっているのでここで再点火。
教師が暴力により直接生徒を殺してしまうパターンと教師が原因により生徒が自殺してしまうパターンで悩みましたが後者に致しました。だってこちらの方が衝撃的でしたもの。

まぁどちらにせよ公務員の立場なのかわかりませんが、人を殺めておいて罪が軽いのですよね。えぇまったく。責任も個人ではなく市の責任の場合も多いですし。もうやりたい放題ですね、極一部の方々にとっては。

とはいえ今ではモンスターペアレントも問題になっているのでなんとも言えない感じにはなっていますけどね(苦笑)。


ところでみなさんは体罰と思われる場面に遭遇したことはありますか?
自分は中学時代に塾へ通っていたのですが、そこの先生方が強烈すぎて。英語の先生は宿題をやってこないと馬鹿呼ばわり、宿題やってくるまで来るんじゃねぇと退室命令、言うこと聞かない生徒に対しては分厚い辞書を何冊も投げつける、などなど。数学の先生は、(自分は経験がないですが)キレると竹刀で思い切り机をぶっ叩くらしい。いずれにせよパワフルなおばさま達である。
まぁ理不尽に怒ることはほとんど無いのですけどね。自分はよく宿題を少ししかやっていかなかったので馬鹿呼ばわりされておりましたけど。おかげさまで成績も多少なりとも伸びたことは事実ですし。高得点取ると不器用に褒めてくれます。「そんなの当たり前だ」って(笑)。まぁ時代でしょうね。


個人的には、他人に対して重大な過失があった・ありそうな場合、もしくは再三注意を聞かない場合は手を出してもかまわないと思いますけどね。やはり口頭注意だけでは限度がありますし。まぁ完璧な答えなど存在しないのでしょうね。故にこのようなことが起こりうるのだと思います。



「あちッ!!」
「尋さんだいじですか?」
「あぁ、今回の奴ばりに熱い奴だぜ」
「私はああいう熱い男は苦手ですがこの熱さなら大歓迎です。ん~このチーズが絶妙ですね」
「あぁ、この辛口のソースがまた食欲をそそるぜ。そしてチーズと言えばワイン!!ってことでおやっさん、ワイン1つ」
「あっ、尋さん午後もまだ仕事あるでしょ!?」
「細けぇこたぁ~気にするな。この匂いはブドウジュースがこぼれちまっただけだ」
「一人だけズルイって、この料金は払いませんからね!」
「・・・?・・・♪」
「もうッ!!」



最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。



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